ケトジェニックダイエットは、糖質をほぼ完全カットして、たんぱく質と脂質を代わりに摂取することで身体のエネルギー源を糖質から脂質に切り替えます。また、中性脂肪を分解して脂肪酸やケトン体を生成してエネルギーにするダイエット方法です。糖質をカットするシンプルなやり方ですが、注意も必要です。
よくある間違いの例
たんぱく質のみを摂り、脂質と糖質の両方を抜いてしまう事例は多くあります。
糖質と脂質はどちらも体にとって重要な栄養素です。糖質は適切に管理すればエネルギー源となり、脂質はホルモンや細胞の構成成分として必要です。例えば、牛肉の脂は適量であれば必須脂肪酸を提供し、ケトジェニックダイエットでは貴重なエネルギー源となります。ダイエットの方法は一概には決まらず、脂質制限の場合は鶏のササミが良い一方、糖質制限の場合は脂質をしっかり摂ることが大切です。
ケトジェニックダイエット中の一日の食事例として、以下のようなパターンがよく見られます。
このパターンでは、毎食にMCTオイルが含まれています。ケトジェニックダイエットでは良質な脂質が推奨され、その中でもMCTオイルは特に良いとされています。しかし、「何故MCTオイルなのか」、「MCTオイルとは何か」という本質を理解することで、ダイエットの選択肢が大幅に広がります。
また、「食事=栄養補給・ダイエット・筋肉づくり」という考え方に固執すると、食事そのものを楽しむことが難しくなります。食事はコミュニケーションを楽しむもの、心身の健康を維持するもの、食文化を堪能するものです。正確な知識を持ってダイエットを行うことで、ストレスなく続けることが可能です。
中鎖脂肪酸(Medium Chain Triglyceride)100%のオイルのことで、他の脂肪酸と比べて消化・吸収が早く、すぐにエネルギーに変わる特性があります。これがケトジェニックダイエット中によく使われる理由です。
通常の油は、腸で吸収された後、全身を巡り肝臓まで運ばれてからエネルギーとして利用されます。また、脂質は糖質やタンパク質と比べて胃に滞留する時間が長いです。
糖質制限ダイエット中の筋力トレーニングは、油を摂ってから3~5時間待つことは難しく、消化不良を引き起こす可能性もあります。そこで重要なのが、BCAA(分岐鎖アミノ酸)の摂取とMCTオイルの摂取です。(BCAAはここでは割愛)
MCTオイルは腸で吸収された後、門脈を通りすぐに肝臓に運ばれてエネルギーに変わります。そのため、糖質制限ダイエット中の筋トレ時にエネルギー供給を効率よく行うのに最適です。
MCTオイルの用途としては、運動前のエネルギー補給や、身体が糖質を失って脂肪を主なエネルギー源として切り替えるケトーシス状態に移行するまでの間に摂るのが理想です。
DHA(オメガ3)が入っており、身体によい
脂の塊は身体に悪い
中鎖脂肪酸が入っているから身体によい
メディアによってこの様にイメージしているのが一般的ではないでしょうか。基本的には合っていると思いますが、問題は全てそれが含まれているわけではないということです。
上記のように食品に対する代表的な栄養素をそのままイメージしているかもしれません。MCTオイルという製品に関してはMCT100%の含有量で間違いはありません。MCTのみを抽出したものだからです。では食品の油の含有量の実際はどうでしょうか。
上記のグラフは、左から「魚の油」、「牛脂」、「ココナッツオイル」となっています。魚の油はそのうちの25%しかオメガ3を含んでいません。勿論それでもかなり多い方です。牛脂の場合、オリーブオイルと同じオメガ9が半分も含まれているので一概に悪い脂とも言えません。ココナッツオイルも、全てが中鎖脂肪酸という訳ではありませんし、ラウリンさんという良い脂も含まれています。
因みに身体に良いとされる、えごま油は、αリノレン酸を含んでおり、体内でオメガ3に変換されますが、変換率は約10%程度です。
えごま油の脂肪酸構成の比率は、
αリノレン酸 60%
オレイン酸 15~20%
リノール酸 10~15%
その他 10%
です。
各種油脂にはそれぞれ特性と効果があります。例えば、えごま油や魚油のDHA・EPAはアレルギー抑制や心筋梗塞予防などに効果的です。オメガ6のリノール酸は細胞膜やホルモンの構成成分として重要です。ココナッツオイルのラウリン酸には抗菌・抗ウイルス・整腸作用があります。
ケトジェニックダイエットでは、MCTオイルだけではなく、これらの油脂をバランスよく摂取することが重要です。これにより健康的な状態を保ちながらダイエットを成功させることが可能です。折角、沢山あぶらを食べても痩せることが可能なダイエットをしているのですから、牛肉など美味しくて健康的なものをしっかり食べましょう。