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メンテナンス

柔軟性を上げる方法

2024.07.26

身体を柔らかくしたい

▶上記のようなご要望でビレッジアップに御来店されるクライアントは多いです。結論から言うと、パーソナルストレッチ(パートナーストレッチ/ペアストレッチともいいます)を行うことで肩関節・股関節・肩甲骨・胸椎の可動域が向上し、身体が柔らかくなることが可能です。科学的な根拠もあります。

これから、柔軟性を増やす=身体を柔らかくするということを学術的に説明致します。また、記事の後半では、ビレッジアップでパートナーストレッチを受けることでなぜ身体を柔らかくすることができるのかを科学的根拠に基づいて説明致します。ストレッチコースを受けるかどうか迷っているお客様はぜひ最後までお読みになって頂ければと存じます。

目次

柔軟性には2種類ある

▶ストレッチ(学術的には:ストレッチング)とは、文字通り筋肉を”伸ばす”行為です。ストレッチで筋肉の繊維に沿って伸ばすことで身体のこわばりが取れて力も抜けて疲労回復にも繋がります。このように筋肉の繊維に沿って伸ばすことを縦断的な柔軟性といいます。具体的に言うと、長座体前屈や伸脚などがあたります。筋肉の繊維に沿った、縦方向の伸びやすさのことです。

▶それに対して、筋肉を直接触った時の柔らかさのことを横断的な柔軟性といいます。よく運動をしている方で、パートナーストレッチをした時の可動域の広さは確かにありますが、手で筋肉を直接押してみると(コンプレッションストレッチといいます)、疲労により筋肉が強張っており、力が抜け切れていないのが分かります。具体的にはマッサージガン、フォームローラー、筋膜リリースなどで改善することが可能です。

縦断的な柔軟性

関節可動域(ROM:Range Of Motion)は➀筋肉がどれだけ筋繊維に沿って長く伸びるか、という伸びやすさと ②筋肉と腱(筋-腱複合体)の伸びきった長さによって決まります。これを効果的に引き出すには、次のポイントを意識することが大事です

➀筋肉を脱力すること
②筋肉の材質(筋膜、及び周辺組織)を伸びやすくすること(弾性)

筋肉はゴムのように、短縮方向(短くなろうとする方向)に力を発揮する為、脱力が出来るほど伸びやすくなります。なので麻酔を受けた状況では筋肉の収縮指令がなくなるため、関節の可動域(柔軟性)が大きくなるといわれます。また、材質としての伸びやすさは、筋内膜や筋外膜といったいわゆる筋膜などの筋繊維を囲む組織の硬さによって規定されます。筋肉の材質の硬さは温度に依存する為、身体を温めることも重要になります。特に風呂上がりのストレッチは効果が高いとされています。

パートナーストレッチの長期的な効果として、筋肉の脱力化が習慣化し、材質の硬さも変化していきます。学術的にいうなら、①筋-腱複合体(筋肉と腱の間の部分)が長くなる。②筋肉の収縮装置であるサルコメアの縦方向の数が増える。ことで身体は柔らかくなり、新たな可動域を増やすことができるのです。そしてこれはパートナーストレッチなどで最大限に筋肉を引き延ばすことで可能になります。

横断的な柔軟性

▶ストレッチによる関節可動域の向上=筋肉の縦断的な柔軟性は上記で説明致しました。
その他に、筋肉の横断的な柔軟性もストレッチにより向上させることができます。横断的な柔軟性とは、つまり筋肉を触った時の柔らかさのことです。具体的にいうなら、筋肉が硬く強張っているか、柔らかくほぐれているかといったコンディションのことをいいます。

筋肉の緊張(微弱な筋活動:筋肉につい力が入ってしまう)ことによる神経的な要素が横断的な柔軟性を決定づけます。例えば、デスクワークなどで同じ姿勢を長時間続けていると筋肉が時間とともに硬くなっていくのは普段の日常生活でも感じると思います。

【筋肉にわずかに力が入ってしまう場面】

  • トレーニング後、神経が興奮状態になっていて力が入っている
  • 仕事によるストレスで緊張状態になっている
  • ずっと同じ姿勢で力が入っている
  • 筋肉痛で疲労が溜まっていて力が入っている
  • 呼吸が浅い

上記のような場面では、血流の循環が悪くなり、滞留した血流から染み出る水分などの影響で周辺組織が硬くなり、肩凝りや腰痛に繋がるといわれています。ストレッチングやコンプレッションをすることで材質的に筋肉が柔らかくなり、柔軟性が増すという研究結果が出ています。特に横断的な柔軟性(筋肉の強張り)を改善するにはマッサージやコンプレッションストレッチ、マッサージガン、フォームローラーなどが有効とされています。

ストレッチによる効果

➀軟部組織の柔軟性の向上

▶腱、靭帯、関節包、筋膜、皮膚、神経など、骨以外の組織を軟部組織といいます。これらもストレッチによって伸ばすことが可能です

②関節可動域(ROM:Range Of Motion)の向上

▶関節が動く範囲のことです。これがいわゆる「身体を柔らかくしたい」という多くのクライアントの要望がこれにあたります。

③怪我の予防

▶ストレッチによって身体の強張りや疲労を除き、筋肉の材質を柔らかくすることで疲労骨折、シンスプリント、オスグット病、ジャンパー膝などのスポーツ障害の予防に繋がります

④疲労の回復促進

▶ストレッチによって血行が促進され、疲労回復が早まります。身体の強張りも取れます

⑤疼痛の緩和

▶硬く短くなっている筋肉を伸ばすことで、原因になっている筋肉をほぐして痛みを緩和できることが期待できます。

⑥リラクセーション

▶一般的にはリラクゼーションと言われていますが、学術的にはリラクセーションです。ストレッチによって身体の脱力方法が身につき、それによって副交感神経が優位になります。結果的に睡眠障害の改善や抑うつ効果も見込まれます

⑦筋肉の萎縮を抑制

▶特にシニア層など、筋肉の萎縮や五十肩が起きやすい層にとって、ストレッチによる筋肉の萎縮を改善させる効果が期待できます。

⑧スポーツパフォーマンスの向上

▶柔軟性が向上することでゴルフのフォロースルー(最後まで振り切ること)が滑らかになり飛距離アップに繋がります。その他にも空手やキックボクシングにおける上段蹴り(ハイキック)、体操やフィギュアスケートなど、身体が柔らかいことが武器になるスポーツでの活躍が期待できます。

⑨姿勢改善

▶いわゆるアライメントといわれる、筋肉の柔軟性と拘縮のバランスの悪さによる姿勢悪化(反り腰や猫背など)をストレッチと筋力トレーニングの組み合わせによって改善することが可能です。これに関しては、ストレッチングのみならず、ウェイトトレーニングやファンクショナルトレーニングといわれる動きの改善も必用になります。

ビレッジアップのストレッチコース

▶ビレッジアップでは、40分間のストレッチコースがあります。これは、コンプレッションによる横断的な筋肉の柔軟性の向上、そしてストレッチによる縦断的な筋肉の柔軟性の向上及び関節可動域の改善を図るものです。また、40分のストレッチの後に10~15分程度、希望するクライアントには家で出来るセルフストレッチングやファンクショナル的なトレーニングを指導させて頂いております。

 何故トレーニングも指導するのかというと、硬く強張っている筋肉をほぐすのは勿論ですが、逆に柔らかくなりすぎている筋肉に対してはスタビリティ(安定性)を持たせるために鍛える必要があるのです。それによってアライメント(姿勢不良)が改善して、より疲れにくくなる身体を手に入れることができるのです。

 根本的な身体の改善を図るには、第一にモビリティ(硬く強張っている筋肉をほぐして柔らかくする)、そして第二にスタビリティ(柔らかすぎて弱化している筋肉を鍛えて安定させる)の両方を改善させる必要があるのです。なので、ビレッジアップでは、ストレッチだけでなく、トレーニングの指導もしています。

パートナーストレッチで柔らかくなる仕組み

ゴルジ腱器官の反応を利用する

▶ゴルジ腱器官(GTO:Golgiゴルジ体 Tendon Organ器官)とは、筋肉と腱の間に位置している感覚受容器であり、具体的には、筋肉や腱がストレッチによって過度に引き延ばされた際に、筋の張力を感じ取って、筋を守る為に自ら弛緩させる(IB抑制/自原抑制/自動抑制作用)感覚器官です。

簡単にいうと、「これ以上引っ張られると関節を痛めちゃうから、自ら柔らかくなってもっと可動域を増やそう」という反応のことです。これがパートナーストレッチにおいて非常に重要になってきます。

ゴルジ腱器官を利用するためにするべきこと

▶パートナーストレッチを成立させるには、ゴルジ腱器官の反応が重要であることは説明しましたが、とにかく伸ばすだけで良いという訳ではありません。勢いよく伸ばしたりするとクライアントが伸ばされる恐怖で抵抗したり(力み)、呼吸が荒くて交感神経が優位になっているとゴルジ腱器官の利用(ゴルジ腱反射といいます)を上手く引き出すことは出来ません。今からパートナーストレッチの際に意識するポイントを説明いたします。

筋肉の温度が高い時に行う

▶柔軟性は、筋温に影響します。寝起きや寒い環境で身体を動かすと身体がカチカチになっていますよね。まずは部屋を冷やしすぎないように環境を整えましょう。風呂上がりのストレッチは特に効果的です。

反動をつけない

▶勢いよく弾みをつけて反動を使ったストレッチ(バリスティックストレッチ)を行うと、伸張反射(急激に伸ばされた反射によって筋肉が逆に縮しようとする動き)が起きてしまい、逆に筋肉が硬くなってしまいます。焦らずにゆっくりと伸びている筋肉を意識しながら静かに伸ばすことが重要です。

15~30秒ほど時間をかけて伸ばす

▶ゴルジ腱反射が起こるには、一つの筋肉に対して最低でも15秒かけて伸ばす必要があります。また、めちゃくちゃ硬い人には、60秒かけても良いとされています。このくらい時間をかけて伸ばさないとゴルジ腱反射が起こりません。ビレッジアップのストレッチでは、筋が一番伸びている位置で十数秒静止しています。これはゴルジ腱反射を使ってより筋肉を弛緩させるためにやっているものです。

また、やり過ぎても(伸ばしすぎても)関節や筋腱を痛める可能性がありますので、あくまで心地よい程度、または痛気持ちい程度で伸ばすことが重要になります。

呼吸を止めない

▶自然な呼吸で行う必要があります。ビレッジアップでは、「ここで大きく息を吸ってください」「ここで吐いてください」「息を止めずに自然な呼吸で大きく吸ってはいてください」と要所要所で呼吸の指導をしています。ストレッチの痛みや恐怖に対して緊張して呼吸を止めてしまうと筋肉に力が入って上手く伸びなくなります。また、血圧上昇のリスクも考えられますので、緊張せず自然体を行うことが大切になります。それにはストレッチに対する恐怖を振り払う必要があるので、いつも「一番伸びて気持ち良い所でストップといった下さい」と指導しています。

息を吐くことで胸の横隔膜が弛緩します。すると神経回路は副交感神経が優位になり、筋肉をよりリラックスさせることができます。

痛すぎるストレッチは危険

▶早く結果を出そうとして限界を超える可動域でストレッチを行うと関節の炎症にも繋がりますのでお勧めはしません。ストレッチの効果には個人差がありますので、1カ月以内結果が出たという方もいれば、3ヶ月はかかる方もいます。研究結果では週に1回ペースでストレッチを適切に継続していれば身体の柔軟性は向上するといわれていますので、焦らず行うことが重要です。

ストレッチの効果が薄い場面

▶パートナーストレッチは、時間をかけて適切に行なえば柔軟性を改善して身体を柔らかくすることが可能です。しかし、全ての人に当てはまるかというと、効果が出にくい場合もあります。例えば、肩のインナーマッスルの損傷(回旋筋腱板の損傷)をしている方、五十肩の方、変形性股関節症や股関節臼蓋形成不全の方、その他何かしらの疾患を持っている方に対して、パートナーストレッチが有効な場合もあれば、関節が不安定な状態でストレッチをすることでの悪化も考えられます。

基本的には整形外科で医者からレントゲンやMRI、整形外科的テストなどで診察・診断をしてもらい、ストレッチが有効と判断して頂き、許可を得たうえでのパートナーストレッチをお勧めいたします。

ストレッチにおいてよくある質問

ストレッチコースを受けていれば身体は柔らかくなりますか?

▶基本的に柔らかくなります。何故なら、ビレッジアップでは生理学的な科学的根拠(ゴルジ腱反射を利用したもの)と解剖学的知識(どのように伸ばせばどの筋肉が伸びるか)に基づいて忠実にストレッチを行っているので週に1回ペースで長期的に通えば柔らかくなる可能性は充分にあります。

「開脚したい」「前屈で床に手が付けるようになりたい」という要望にもお応えできます。ただし、一般的には若い人のほうが年齢の高い人よりも柔軟性が高く、また男性よりも女性のほうが、柔軟性が高い傾向にあります。また、クライアントの日常生活の習慣にも結果が左右されますので、「100%柔らかくなる。」「3か月以内に目標達成できる」などの明示は出来かねます。

私は個人的には、中校生の時に空手を初めてから真剣に柔軟に取り組んだところ、2か月で開脚で胸が床にぺたーっとつくまでに至りました。この時は、1日30分のストレッチをほぼ毎日していました。

ストレッチは毎日しても良いですか?

▶はい。毎日しても問題ありません。但し、やり過ぎによる関節痛や炎症があれば、痛みが引くまで安静にする方が良いです。基本的には週に1回、約30分~1時間かけてしっかり伸ばせば筋肉の柔らかさを促進することができます。1週間以上間隔を開ける場合は、柔らかくなる可能性は少し低くなりますが、何もしないよりかはやはりストレッチをやった方が良いと思います。

ストレッチで痩せますか?

▶ストレッチ自体は多少の消費カロリーがあります。30分で70kcalくらいはあると思います。また、ストレッチを行うことでふくらはぎ周りの血行が改善することでむくみが取れて細くみえるようにはなると思います。そして姿勢改善や可動域改善をすることで日常生活においての代謝が多少上がることが見込まれます。

 但し、それがダイエット、つまり身体が細くなるほどの消費カロリーを生むかといえば、私は否定的な見方です。ダイエットするには、①筋トレや有酸素運動で消費カロリーを高くする。②食事を制限して摂取カロリーを低くする。この2つが大前提です。

 身体が固くて運動すると怪我してしまいそうな方や日常的に疲労を感じやすい方、肩凝り・腰痛を改善したい方が、まず初めにストレッチで柔軟性を取り戻し、その後に運動と食事の改善を行うことでダイエットをするのが良いと思います。

結論

▶この記事では、ストレッチによってなぜ身体が柔らかくなるのかという科学的根拠をメインに説明いたしました。また、ストレッチを行うことによる効果やクライアントからのよくある質問に対する回答も記述しています。

もしビレッジアップのストレッチコースに興味があるお客様がいましたら体験を受けてみてください。

【ストレッチコース】

単発(40分)   ¥4,000

4回分の回数券   ¥14,000 (1回あたり¥3,500)

8回分の回数券  ¥26,000(1回あたり¥3,250)

学割(学生限定)

4回分の回数券    ¥12,000(1回あたり¥3,000)

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参考資料

・書籍:スポーツストレッチング 特定非営利活動法人 日本ストレッチング協会 発行2016年4月1日

・全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会(NESTA)テキスト 柔軟性P134~143 発行2022年7月1日 

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