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トレーニング理論

上腕二頭筋長頭腱炎について

2023.12.19

上腕二頭筋長頭腱炎とは

▶肩の前側に痛みを伴う症状です。ベンチプレスのやりすぎや運動時のオーバーユースによって上腕二頭筋の長頭が通る上腕骨の結節間溝付近に負担がかかります。一度で怪我することはほぼ無いですが何度も使うことによる蓄積での怪我が多いです。

症状

▶肩関節の前側の痛み

▶ベンチプレス、インクラインアームカールなどの筋トレをしている時の痛み

原因

▶オーバーユース・・・運動での使い過ぎによる炎症です。例えば、野球の投球動作、テニスのサーブ、バレーのスパイクのやりすぎで発症します。

▶筋トレ・・・ベンチプレス、アームカール、ダンベルプレス等、胸や二頭筋を鍛えるトレーニングのオーバーユースによって発症しやすいです。経験上ベンチプレスのやりすぎによって痛めやすい印象です。

ベンチプレスによって必ず痛めるわけではなく、多くは間違ったフォーム、筋肉が回復しきってない状態でのオーバートレーニング過度な重量設定アライメント不良(筋のアンバランス)に引き起こります。

筋トレのオーバーユースになり易い背景

▶上腕二頭筋長頭腱炎は男性のクライアントに多くみられます。殆どがベンチプレスをやりすぎることによるもの。男性のクライアントはダイエット目的、筋力増強目的関係なくベンチプレスの重量に拘る(気にする)方が多いです。やはり男性たるもの、重い物を持ち上げることに魅力を感じやすいのではないかと思います。

ベンチプレスをやるのが問題ではありません。記録を意識しすぎるあまり、まだフォームや神経系が発達しきっていないにもかかわらずどんどん重さを上げようとしてしまうのが原因です。

初心者ボーナス時に頑張りすぎる

▶以前ブログで書いた内容ですが、筋トレを初めて約3か月の間は神経系が改善されることで一気にパワー(持ち上げる重量)が増えます。また、筋肉が増えるし体脂肪などもみるみる減っていきます。初心者ボーナスと呼ばれる時期で、一番モチベーションが上がる時期でもあります。

初心者ボーナスについての記事はコチラ

ベンチプレスをすれば胸、肩、腕をまとめて鍛えられるわけですから、鏡を見ても変化を感じ取れやすいです。ここで注意したいのは、インナーマッスルや背中を鍛えること、そしてウォーミングアップや休養も適切に取り入れることが出来れば上腕二頭筋長頭腱炎だけでなく殆どの怪我を防ぐことが出来るということです。

改善・予防

背中を鍛える

▶背中の筋肉は、菱形筋、広背筋、大円筋、僧帽筋、脊柱起立筋群など多くの筋肉があります。肩凝りや姿勢、腰痛にも関わる筋肉なので鍛えるメリットは大きいのですが、如何せん鏡で見えにくい場所なので鍛えるのが疎かになってしまいます。

特に鍛えたいのが僧帽筋、菱形筋といった肩甲骨を背骨に近づける働きのある筋肉です。

※広背筋は鍛えすぎると円背や猫背を促進させてしまう可能性があるので注意。

肩を鍛える

▶三角筋の後部を鍛えましょう。後部を鍛えることで上腕骨頭が前に飛出るのを防ぐことが出来ます。

インナーマッスルを鍛える

▶棘上筋、肩甲下筋、棘下筋、小円筋などの回旋筋腱板(インナーマッスル)は通常全て鍛えるべきですが、特に棘上筋・棘下筋は怪我・障害が起きやすいのでチューブや軽いダンベルで鍛える必要があります。

ストレッチをする

▶上腕二頭筋のストレッチ

上腕二頭筋は文字通り二つの筋肉があります。「上腕二頭筋短頭」と「上腕二頭筋長頭」です。基本的には両方ストレッチで伸ばしてほぐすのが良いですが、特に伸ばしたいのは長頭の方です。名前通り、上腕二頭筋長頭腱炎ですので当然長頭をよく伸ばしてあげる必要があります。特に結節間溝と呼ばれる、上腕二頭筋の長頭の腱が通っている溝があるのですが、そこの炎症によって痛めるので、そこを直接伸ばすのは難しいですが、少なくとも冷やしてあげる等の対策をしたほうが良いです。

▶大胸筋のストレッチ

大胸筋が背中の筋肉に比べて鍛えすぎた場合、肩が前に飛びだす円背の状態になってしまい、これがトレーニングをする際に肩の前側である結節間溝に大きな負担を与えてしまいます。

▶胸郭の可動域改善

▶胸郭、胸椎部分の可動域の改善を図ります。

①胸郭部分の可動域を改善することで姿勢が改善されます。

②姿勢が改善されると上腕骨の結節間溝を通る上腕二頭筋長腱への負担が少なくなります。

③姿勢改善することで背中のトレーニングで背中に良く効かすことが出来るようになります。そうすることで前後の筋肉のアンバランスが無くなり肩の前方の負担が減ります。

▶具体的な胸郭の可動域の改善方法

①キャットドッグ

②ソラシックツイスト/リブクラム

③オープンチェスト

④マッサージガン

⑤フォームローラー

検査、診断

▶整形外科的テスト 

 ・スピードテスト

 ・ヤーガソンテスト

▶超音波検査、MRI検査

治療

▶急性期の、痛みが伴う間は、無理に動かすことのなく安静にしましょう。特に肩を上げる、押す動作はストレスがかかるので、注意しましょう。

▶氷で患部を冷やすなどして炎症を抑えましょう。ステロイドの抗炎症薬や注射を使う場合もあります。

▶超音波療法や電気療法で血流を良くして回復を促します。

▶徒手療法・・・肩周りの筋肉をほぐして緩めます。特に上腕二頭筋、大胸筋、肩甲骨周りの筋肉を緩めます。

予防

▶肩回りのストレッチ

▶運藤前のウォームアップ

▶しっかり休む

▶不適切なフォームの習得

まとめ

上腕二頭筋長頭腱炎はベンチプレスのやりすぎやインクラインアームカールなどで肩の前側に負荷が蓄積して起こりやすいです。
特に初心者の方が、トレーニングが楽しくなってきてベンチプレスなど派手な種目にハマりだす時に痛み出すことが多いです。
先ずはウォーミングアップやトレーニング後のケアを時間をかけて行う必要があります(ここが見過ごされがちです)。また疲労管理も大切で、最低でも筋肉痛が完全に収まるまでは次のベンチプレスに移行しないように注意しましょう。
既に痛めてしまった方は、ベンチプレスは2・3か月は封印して、代わりに背中のトレーニングや姿勢改善を行いましょう。どうしてもベンチプレスがやりたいときは、ダンベルプレスやハンマーストレングスのマシンでのチェストプレス、そしてペクトラルフライやトライセプスプレスダウンなどの単関節運動が代わりのエクササイズとして効果的なのではないかと思います。

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